最近、他ブログの紹介や引用の観点からリンクを張ることがちょっと増えてきました。
直近だとこんな記事でほかのドラクエブロガーさん達の記事につきリンクを張らせてもらいました。
リンクを張る際、まんまる堂さんのようにリンクフリーの旨が明記されている場合には安心なんですが、そうでないときにはどうなんでしょう。
不安ならば本人の許可を取るのが一番でしょう。
僕もできるだけそうするようにしています。ただ、いつもというわけにはいかない。許可を待っていたら記事を上げられなかったり、そもそも本人と連絡がつかなかったり・・。第一、リンクするたびに相手に許可を取らなくてはいけないなんてまどろっこしい話です。
そこで今回は、このようなリンクを張る行為が法律(特に著作権法)上、問題にならないのかを検討してみます(以下、参考文献:「STORIA法律事務所」HP、経済産業省HP、中山信弘「著作権法概論」など)
1 侵害が問題になりそうな権利
著作権者に無断でリンクを張ることは、一見すると以下のような権利を侵害するように見えます。
【複製権】
第21条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
【公衆送信権】
第23条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
つまり自分のブログに他ブログのリンクを張るのは、その他ブログをいつでも見れようにする状態にすることなので、見ようによってはコピーと変わらないため複製権を侵害しているのではないか、とも思えるのです。
さらに、そんなリンクを張った記事をネットに公開しているんだから、公衆送信権も侵害している、と考える人もいるかもしれません。
もしこの考えが正しいなら、著作権者であるリンク先のブロガーさんに許可をもらわないと原則としてリンクが貼れないことになってしまいます。例外として「引用」としての利用なら許容されるケースがありますが、引用に当たるかどうかなんて判断は微妙な場合が多く、必ずしも許容されるとは限らないのです。そんなことを考えてたら危なっかしくて、積極的にリンクなんて貼れなくなってしまいます。
2 経済産業省の見解
実は、このリンクを張る行為については経済産業省から公式の見解があります。
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」という冊子です。あ~こんなものあるなんて知らんかった・・。
http://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160603001/20160603001-2.pdf
この冊子はその名の通りネットによる経済行為に関する準則が書かれているんですが、その中でネット上でリンクを張る行為についても記されています。
「インターネット上において、会員等に限定することなく、無償で公開した情報を第三者が利用することは、著作権等の権利の侵害にならない限り、原則、自由である」
(同準則ⅱ.8より。太文字は当ブログによる。)
「・・『リンクを張る』ことの意味を検討するに、他者のウェブページにリンクを張る者は、リンク先のウェブページの所在を示すURLを、リンク元のウェブページを構成するhtmlファイルに書き込むだけであって、リンク先のウェブページや画像等のコンテンツを、自ら送信したり、複製しているわけではない」(同準則ⅱ.9)
簡単に言うと、
・他ブログにリンクを張ったとしてもリンク先の情報はあくまで他ブログのページによって提供されるものだから、リンクを張った者が公衆送信したことにはならない
・リンクを張った記事にリンク先の情報そのものがコピーされるわけではないから複製でもない
したがってリンクを張る行為は、複製権侵害にも公衆送信権侵害にもあたらないということですね。内容だけみれば当たり前のことなんですけど、こういう公式見解があると安心します。
3 でもリンク先が不正なことをやっていないか要注意!
そんなわけで、たとえ無断でリンクを張っても著作権法違反にはならないのが原則なんですが、例外的に違法になるケースがあるので要注意です。
⑴ リンク行為自体が不法行為にあたる場合
たとえばブログを誹謗中傷するためにそのブログのリンクを張る行為です。
これは著作権とは関係なく、誹謗中傷行為自体が不法行為にあたりますので、その一環としてなされるリンクを張る行為も違法になります。まあ、当然といえば当然。
⑵ リンクの仕方によって著作権違反になってしまう場合
前述のとおり、リンクを張る行為そのものは著作権法には違反しないのですが、リンクを張る際のやり方によっては著作権法に抵触する恐れがあります。
たとえば、リンク先を示すためにそこで使われている著作物を丸写しするような場合が考えられます。このような丸写し行為は、自分のサイトで他者の著作物をコピーして閲覧できるようにするものですから、複製権や公衆送信権侵害になるかもしれないのです。
なお、はてななどのブログではリンクを張る際に他ブログの埋め込みができますが、そのときにリンク先の著作物が映ってしまうことがあります。じゃあこれは著作権法違反なの?というとそんなことはないでしょう。よっぽど悪質な方法をとらない限り、引用などの理由で許容されるはずです。
⑶ リンク先のブログが著作権侵害を行っている場合
おそらく実際に一番問題になるのはこの⑶のケースではないでしょうか。
リンクを張る行為自体がリンク先の著作権を侵害していないとしても、リンク先のブログが第三者の著作権を侵害していたら、その行為を幇助、つまり手助けしたということで違法行為になる危険があるのです。
実際の事件でも、ニコニコ動画において違法アップロードされている動画にリンクを張る行為が公衆送信権侵害の幇助になるのではないかが争われたことがありました(大阪地裁平成25.6.20判決)。
たとえば僕が他のドラクエブログにリンクを張った際、リンク先のブログがスクエニの著作権を侵害するようなブログだったら、僕はその侵害行為の幇助犯になってしまうかもしれないということです。
もちろん普通にリンクを張るだけなら故意や過失がないため不法行為責任を問われることはないでしょうが、あきらかに悪質サイトだったらリンクを張るのは危険ですからやめた方がいいです。
リンク先のまんまる堂さん・・著作権法違反はないですよね・・?('ω')