他人の家にあるツボやタンスの中身を調べてお宝をゲットする。
ドラクエをやっている人なら誰もがやっている行為です。
でも、ドラクエを始めたばかりのころ、こんなこと許されるのかよ、と思いませんでしたか?少なくとも私は、いい年をして未だに気になっていますw
といっても、全国のプレーヤーが行っているこの行為を犯罪扱いはしたくありません。そこで、今回は他人の家に勝手に入ってツボやタンスの中身をとるという行を正当化するための法的構成をまじめに(?)考えてみることにします。
1 原則
他人の家に無断で入り、財物を盗る行為は、住居侵入罪及び窃盗罪にあたります。
刑法
(住居侵入等)
第130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し・・た者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 まずは住居侵入を正当化してみる
(1) 「侵入」の意義
まず、同罪でいう「侵入」とは、住居権者等の意思に反する立入りのことです(最判昭和58年4月8日刑集37巻3号215頁)。住居権とは、平たく言うと家の出入りを許可する権限のことです。ふつうは家の主人やその家族がこの権利を持っています。
ここで注意すべきは、お店など一般の人が出入りできるような場所でも、管理者の意思に反する目的で立ち入れば、「侵入」にあたることです。例えば、カードの暗証番号等を盗撮する目的で、営業中の銀行ATMへ立ち入っても建造物侵入罪にあたります(平成19年7月2日最高裁判例)。
(2)住居権者の意思解釈
そうすると、主人公はアストルティアの住人達に広く受け入れられているため、その立ち入りも、住居権者の意思に反するものではないという構成をとるしかなさそうです。
もちろんストーリーの中では、主人公の立ち入りが歓迎されていない場面もありますし、第一、この構成をとると、空き家のときにはどうするんだ?という疑問が出てきます。
しかし、ここは強引に考えて、アストルティアでは住居権という意識が極めて薄く、よほどのことがない限り、主人公の立ち入りは住居権に反することにはならない、という解釈ができなくもありません(日本では無理な解釈ですが・・)。
NPCは作られた存在なので、このように解釈されても仕方がないわけですw
* 主人公に立ち入りが明らかに相手の意思に反するときには、「今は入るのを控えよう」という警告が出ますよね(例:重傷を負ったときのトビアスの部屋など
3 窃盗罪はどうやって正当化する?
(1)「窃取」の意義
窃盗罪における「窃取」とは、他人の承諾なしに財物の占有を自分や第三者に移してしまうということです。
(2)主人公の行為は「他人の承諾」があるといえるか
住居侵入罪のときには、アストルティアでは住居権の意識が低いから、よほどのことがない限り、相手の承諾ありとみなしていい、といいましたが、窃取までそう考えていいもんでしょうか。
窃取、つまり泥棒は、ハンムラビ法典より続く伝統的な犯罪リストであり、「人のものをとってはいけない」という意識が低い世界はあまり考えられません。その意味で、いくらNPCといえども、住居侵入罪と同じような考えは難しいと思われます。
となると、現行刑法で主人公の行為を正当化するのは、やはり無理っぽいですね・・(もちろん住居侵入の正当化もかなり無理矢理ですけどw)。
(3)国家総動員法?
この法律に関連して、日本では金属類回収令という勅令が出されました。
戦時中の日本で、役人やその回し者が他人の家の鍋ややかんを回収して回ったという話を聞いたことがあると思いますが、それはこの勅令が根拠になっています。
さて、この話をドラクエの話と対応させてみましょう。
↓
・その規則に関連して、運営より「どうぐ」類回収令という勅令がNPC住人に対して出されている。
こう書くと、なんだか怖い法律構成ですね。
しかし、アストルティアはいわば世界大戦真っ只中です。このような物々しい体制がひかれていたとしてもそれほど不自然ではないと思うのは私だけでしょうか。
4 結び
いささか強引ですが、上記のように考えれば、我々冒険者の行為は犯罪とはならずに済みそうですw
本日もくだらない妄想のお付き合いいただいて、有り難うございます<m(__)m>