ブログを始めて約1か月が経とうとしています。
まだまだブログ界では、駆け出し中の駆け出しで、存在価値などないに等しいですが、それでも何とか細々とやっていられるのは、月並みな表現ながら読者様がいるからだと思っています。本当にありがとうございます。
さて、そんなドラクエⅩブロガーになりつつとしている僕にとって、避けて通れない問題点があります。ブログにおけるドラクエ画像等の取扱いについてです。今回は、これからドラクエⅩブログを始めようとする方や、なんとなく画像の取り扱いについて気になる人のために、僕なりにこの点について法的観点からまとめてみました。
なお、以下の見解は、ぼく個人の感想・見解であり、これよって生じた損害等について一切の責任を負いかねます。あくまで一つの読み物としてとらえていただくようお願いします。
ブログ内の画像使用は基本的には「著作権侵害」
1 著作者は誰?
まずドラクエⅩの画像や動画(以下、「画像等」という)は、著作物にあたるため、これらを創作した人たちには著作権があります。そして今回の画像等の著作権者はスクエア・エニックス、アーマープロジェクト及びバードスタジオ(以下「スクエニ等」)です。ちなみに後二社の代表者は、それぞれ堀井雄二氏と鳥山明氏。
僕のブログにも(C)2017 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reservedという表記がありますが、これは、このブログにはこの人たちの著作物が使われていることを表しています。もしブログでゲームの音楽を使うことがあるなら、音楽の著作権者である、すぎやま工房の名前も記すことになります。
勘違いしてはいけないのは、このブログの記事自体の著作権者はブログ主である僕です。スクエニ等の著作物を使っているのだから、お前なんかが著作権者ヅラするな、とは少なくとも法的にはいえないわけです。したがって、もし僕の記事を不当に丸写しして何かのサイトに公開したら、僕はその人に著作権侵害を主張しうるわけです。
さて、ドラクエⅩの画像の著作権は前述のとおり、スクエニ等の著作権者が専有しています。したがって、原則としては画像等を複製したりネットで公開(著作権法上は「公衆送信」といいます)したりすることは、スクエニ等しかできないのです。
(複製権)
第21条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
第23条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
そんなわけで、スクエニ等以外の人が、ドラクエⅩの画像等を勝手に複製したりブログで公開することは、原則的にはこれらの複製権・公衆送信権違反になってしまいます。
著作権侵害を行うと、権利者から侵害行為の差止め請求、損害賠償請求をされることがあります。場合によっては罰金や懲役刑をくらってしまうことも。
民法709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
著作権法102条 著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
同法109条 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者・・・は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
これは、民事上の権利侵害の割には結構重い制裁だといわれています。
著作権侵害って、刑法犯と比べると「犯罪」というイメージが湧きづらい行為なので気を付けたいですね。
じゃあ、僕をはじめ、ドラクエⅩブロガーの皆さんが違法行為をしているのか、というとそんなことはありません。ゲーム運営側は、ブログ等での画像等の使用について利用規約を定めており、基本的にはブログで画像等を使うことを許可しています。
(利用規約抜粋)
「ドラゴンクエストX」におけるゲーム内容、画像、映像、キャラクター、音楽など、すべての表現物は、・・、事前の許可なく複製や頒布をすることはできません。ただし、以下の場合については、インターネット上での掲載にご使用いただくことができます。その際には、【利用条件】に従って利用してください。(以下、略)。
(以下、略)
※今回はブログ画像に関する内容なので、ニコ生などの動画配信行為についての規定はカットしています。
本文のただし書きから、以下に列挙する場合については、インターネット上の掲載(つまり公衆送信)及び、それに伴う複製は違法ではないよ、ということが分かります。
そして、列挙事由の中に、画像を「個人使用目的でオンラインサービスで」使用すること、とありますので、個人使用目的でブログに画像を掲載することは、著作権侵害にはならないということになります。
僕をはじめとするドラクエⅩブロガーはこの規定を根拠に、安心して画像を掲載できているのです。
実はこのような利用規約がなくても、ブログ内の画像使用は著作権侵害にならない余地があります。著作権法32条を見てみましょう。
(引用)
第32条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
つまり、
ドラクエというゲームのことについて述べるために、
その引用として画像を使うならば、適法になる場合があるということです。何か記事を書く場合に、素材となる著作物を一切引用できないのは不便だし、それでは
表現の自由を不当に制限するという理由から生まれた規定です。
もっとも、この規定を適用するには、その引用が、「公正な慣行に合致」して目的が正当である必要があります。この要件にあたるかを判断するのは結構面倒くさいです。
判例を参考にすると、主な判断基準は以下の2つ。
・区別の明確性
・主従関係
つまり、使われた画像とブログ記事が明確に区別できるか(つまりブログ主の著作物と混同していたら×)、使われた画像とブログの記事に主従関係があるか(つまり画像がメインになっていたら×)、など細かく見ていかなくてはならないのです。
これは、ブロガーとしてはたまったものではありません。
著作権法32条で救われるためには、まず、記事自体を
ドラクエ作品を論評するような内容のある文章にし、それからその文章に関係のある「ふさわしい」画像を選んで「正しい方法で」貼り付けなくてはならないのです。つまり、文章のつなぎに適当に
プクリポの画像をポンと載せるなんてことができなくなるんですね。
これでは、ブロガーが委縮して、だれも
ドラクエについて記事を書こうと思わなくなります。それではプレーヤー間のネット上の交流手段が狭められ、ゲーム自体の盛り上がりもなくなってしまいます。これではゲームを開発した
スクエニ側にとっても不利益です。そこで、
そのような不利益を回避するために著作権法32条の縛りを緩和したのが、利用規約ということだと解されます。
利用条件について
利用規約に基づき、画像が使えるとしても、その使い方については条件が付されていますね。主なものを挙げておきます。
この画像が
スクエニ等の著作物ですよ、ということを明記しなさいということです。僕もこの条件に基づいて(C)2017 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/
SQUARE ENIX All Rights Reservedという表記をブログ内に明記しています。
(出所の明示)
第48条 次の各号に掲げる場合(注:複製などをする場合ということ)には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
2 前項の出所の明示に当たつては、これに伴い著作者名が明らかになる場合及び当該著作物が無名のものである場合を除き、当該著作物につき表示されている著作者名を示さなければならない。
これは、第
三者にその画像がブログ主の創作ではないということをアピールするための規定ですね。第
三者との間で画像に関するトラブルがあったときに備えたものといえます。
規定の趣旨から考えて、ブログにこの記載がないというだけで
スクエニ等から制裁をくらうことはおそらくないと思いますが、一応明示しておいた方が安全でしょうね。
2 ネタバレしないこと
これはブロガ―に協力を求める形で規定しており、強制ではないようです。しかし、ラスボスやエンドロールについては、ブログでの公開は「禁止」で、いわゆる強制規定です。
クリアしていないプレーヤーの楽しみを奪わないためには当然の規定ではあるのですが、規定の範囲については若干微妙なところもあります。
とくに「ラスボス」については、Ver.1などのラスボスは、今となっては事実上、単なる「強ボス」扱いであり、一切公開を禁止するのが果たして実態に合うのかという問題があります。
もっとも、ブロガーとしては、Ver.1のラスボスであっても、少なくとも(強戦士の書などのコンテンツではなく)本編での戦闘シーンは公開しない方がいいと思われます(ほかの人も公開していませんのでこれが多数意見でしょう)。
3 公開した内容の二次利用の禁止
ブログでの画像公開はいいのに、公開内容の
二次利用はダメ、とはどういうことでしょうか。
規約では禁止の例として、「公開した内容をまとめて冊子などの別の媒体での再配布は、有料・無料にかかわらずご遠慮ください」と記しています。これを見る限り、
スクエニ等が発売する(可能性のある)商品と競合するようなものは有償・無償を問わず作ってくれるな、ということでしょうね。
じゃあ、キャ
ラクターやストーリー等をまとめたブログは
二次利用でダメなの?と思われるかもしれませんが、おそらくそんなことではありません。
利用規約が「冊子などの別の媒体での再配布」といっているように、この規約で禁止しているのは、
有形物をつかった画像のバラマキ行為です。
冊子などの有形物はスクエニ等が商品として販売する(しようとする)物と競合してしまう危険性が高いから、特に禁止の例として挙げた、とみていいでしょう。
逆に言えば、ブログで普通に画像を使っている分には、
スクエニ商品と競合することは考えづらいため、この規定が問題になることはないと思っています(そう思わないと記事が書けませんのでw)。
ちなみに、画像を使って冊子などを作って他人にばらまく行為は、
著作権法上は「頒布」といいます。
第2条の19 頒布 有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、(以下、略)。
おそらく、
二次利用禁止の規定は、この頒布行為がダメということを確認するためのものでしょうね。
4 公序良俗に反しないこと
要は社会通念上、「いけない」とされることに画像を使うな、ということですね。わいせつなものだったり、個人を中傷したりするものが挙げられます。まあ、これについてはこの記事で説明することはないでしょう。
最近では
ドラクエⅩの世界でも、特定のブロガーを攻撃するためだけに立ち上げられたブログが存在するとかしないとか・・。
5 利用条件違反の制裁
利用条件は、画像利用を許可した上で、その使用方法について定めた規定ですので、違反したとしても直ちに
著作権侵害になることはありません。
しかし、3の
二次利用の禁止に違反すると、「頒布」権侵害に該当する恐れがあるので、
著作権侵害になる危険性があります。
また、
著作権侵害にあたらなくても、画像を不当に使うと、
著作者人格権などの別の権利を侵害する可能性があるので、利用許諾規定があるからといって何でもかんでも無罪放免ではないということはいうまでもありませんね。
また、法的には権利侵害にならないとしても、運営側が不適切と認めた場合には、ゲームの利用禁止などの処分を行うことがあります。いわゆるBANされるというやつですね。僕は当初、BANの意味が分からない人間でしたが・・。
実際には、この運営の行うゲーム上の制裁行為のほうが問題になりやすいと思います。法律と比べて基準が明確ではなく、その分運営の裁量の余地が大きいですからね。
まあ、常識的に見ておかしなことをしていなかったらまず大丈夫だと思うのですが・・。
次回は・・
ちょっと記事が長くなってきたので、今回はここまでとします。
最後に、冗長な文章であったにもかかわらず、ここまで読んで下さった方、本当にありがとうございました<m(__)m>
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