この記事は「大地の箱舟~アズランにて」の続編です
新緑の町に駆け抜ける風が心地いい。いつも5月のような爽やかな町アズランにやってきました。
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「やってきました、アズラン駅。今日はどんな路地を散策しましょうか・・・って、完全に途中下車の旅みたいになってるな・・(´・ω・`) あ、あそこでまだもじもじしている男の人がいる。」
「ちょっと、そこのあなた!まだタケトラさんと話せないの?もうVer.4なんだからいい加減、領主の館に行って話を進めましょうよ。」
剣士グンザ「フフフ・・わたしはNPCだからこれでもいいのだ。それよりお前はどうなんだ?ゲーム参戦して2年半が経つのに、いまだに恥ずかしがってチャットもできていないではないか。どんなにレベルを上げてストーリーを進めても、中身の人間のスキルは初期村のままだな。」
「馬鹿にしないでください!僕だって『よろしくお願いします!』くらいはいえます
( ゚Д゚) 最近、やっと学園の教練(ブロンズクラス)に参加できるようになって、他のプレーヤーと共闘してきたんですよ。もっとも、みんなレベル30くらいだった中で、僕だけレベル70だったけど・・(´・ω・`) こ・・これでも少しは成長してるんです!」
あ~恥ずかし。学園のストーリーをクリアしているのに、対人恐怖症のせいで教練をほったらかしにしてたからこんなことになるんだな・・。ほったらかしといえば、この町にも「ほったらかし」の施設があるぞ・・。
「あの~、この職人ギルドはいつになったら話が進むのでしょうか?未実装の職人ギルドといえば、ガートラントに陶芸、ヴェリナードに薬剤、メギストリスに花摘み、ガタラに採掘がありましたけど、ここだけはギルドの名前すら決まっていないですよね。」
「トップの人間の考えることは分からん。私もいつまでここで無駄な見張りをしなくてはいけないのか、とおもうとやりきれなくなるのだ。」
「職人は斜陽産業ですから、新たなギルドは計画が頓挫しているんでしょうね。最近のブログを見ても、こういう施設を気にするブロガーなんてすっかり見なくなりましたよ。制度設計者はVer.4の内容充実に力を入れているし、当分この分野は見放されたままでしょう・・。」
「こんなところにいたらいつリストラされるかわからん。ヴェリナードにあるアクセショップの警備員にでもなりたいな。でもNPCには転職の自由がないんだよ。私は生涯、こんな町の片隅で誰にも相手にされず、運営に消されるのを待つだけの人生なのだろうか・・」
「・・・・・(´・ω・`)」
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爽やかな街にいるはずなのに、重く沈んだ気持ちがウエスタン君の心に残ってしまいました。次回に続きます。